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2017年09月03日 [相続]

信託銀行の遺言信託

 信託銀行が「遺言信託」の名で商品を提供していますが、これは法律上の「信託」を行うものではなく、遺言の作成、保管、執行をパッケージにした商品です。

 信託銀行が提供するこの「遺言信託」を利用する場合、永続的組織である信託銀行が責任をもって遺言公正証書の正本(写し)を保管し、その執行を行ってもらえるところにメリットがあるといえます。

 しかし、原状では、この「遺言信託」を利用した場合、遺言作成時に30万円ほど、遺言の保管時に年1万円ほど、遺言の執行時には遺産額に応じて、最低100万円以上の費用がかかることになります。

 そもそも公正証書遺言はその原本が公証役場に保管されますから、自筆証書遺言のように紛失、改ざんのおそれはありません。
 また、通常よくなされる遺産中の財産を特定の相続人に承継させるといった内容の遺言であれば、遺産を承継した相続人は、直接単独で遺産の名義書換等の手続を行うことが可能ですから、必ずしも遺言執行者を指定しておく必要はありません。
 「遺言信託」を利用して信託銀行を遺言執行者に指定していたとしても、信託銀行が税務申告や登記手続を専門家の代わりに行えるものでもなく、別途、専門家に対する費用がかかります。
 相続人間に遺言に関する紛争が生じた場合にその調整役を務めてくれる訳でもありません。むしろこのような場合には、信託銀行は遺言執行者への就任を辞退することが通常です。

 「遺言信託」を利用する場合には、以上のような点を理解した上で、なお利用するメリットがあるかどうかをよく検討した方がいいでしょう。
 また、被相続人が「遺言信託」を利用して公正証書遺言を残していた場合も、信託銀行にそのまま遺言執行者に就任してもらうかどうかはよく検討した方がいいでしょう。


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